【2026年8月改正対応】事業展開等リスキリング支援コース|事業展開等実施計画(様式第1-3号)の書き方

この記事の結論

  • 様式第1-3号「事業展開等実施計画」は、「なぜこの訓練が必要か」を労働局に納得させられるかが審査の分かれ目となる
  • 書き方は[現状+外部環境]→[何を始める・変える]→[誰にどんな知識・技能が必要か]→[だから受講させたい]で進める。厚労省が公式サンプルを6例示している
  • 「従業員のスキルアップのため」から書き始めると通りにくい。主語は常に「会社の事業の変化」
  • ①事業展開は、訓練開始日から3年以内に実施予定、または6ヶ月前までに実施済みのものに限る
  • ③人事・人材育成計画を選ぶと、書類が1枚増え、中小企業は認定経営革新等支援機関の事前確認が必須になる。急ぐなら①②で組む方が速い
  • 参考例のコピペは厚労省自身が名指しで注意している不備となる。各社が自社の言葉で書く必要がある

この記事は「事業展開等リスキリング支援コース実務ガイド」の関連記事です。
対象になる研修・ならない研修の判定基準は「対象になる研修・ならない研修の境界線」
申請の逆算スケジュールは「逆算スケジュール」をご覧ください。


この記事の目次

  1. 結論:様式第1-3号は何のためにあるか
  2. 計画届でセットになる提出書類
  3. 様式第1-3号の構成(第1面・第2面)
  4. 書く前に決めること:①②③どれで出すか
  5. 【最重要】厚労省の公式サンプル文6例と記載構文
  6. ①事業展開で書く場合の実務ポイント
  7. ②DX・GX化で書く場合の実務ポイント
  8. ③人事・人材育成計画で書く場合の実務ポイント(最も重い)
  9. 裏付け資料はどこまで求められるか
  10. 書いてはいけないこと・よくある不備
  11. よくある質問
  12. まとめ

目次

1. 結論:様式第1-3号は何のためにあるか

計画届(職業訓練実施計画届)に添える書類の中で、様式第1-3号「事業展開等実施計画」だけは、他の人材開発支援助成金のコースにはない本コース固有の書類です。訓練内容そのものを書く様式第1-1号に対して、様式第1-3号は「なぜこの訓練が必要になったのか」を書く書類です。

  • OFF-JTにより実施される訓練であること
  • 実訓練時間数が10時間以上であること
  • 職務に関連した訓練であること
  • 対象になる3類型のいずれかに当てはまること

これらに加えて、「事業展開等実施計画(様式第1-3号)」を職業訓練実施計画届と併せて提出することが、本コース固有の支給対象事業主要件として明記されています。

【出典】詳細版パンフレット(令和8年8月3日版)p.13, 18 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731978.pdf

対象になる研修かどうかの判定基準そのものは「対象になる研修・ならない研修の境界線」で扱っています。この記事は「対象になる研修だとわかった後、それをどう様式に落とし込むか」に絞って解説します。


2. 計画届でセットになる提出書類

様式第1-3号は単体では出しません。計画届提出時には、次の書類が必要になります(●必須、▲該当する場合のみ)。

様式番号正式名称いつ必要
様式第1-1号職業訓練実施計画届● 常に必須
様式第1-3号事業展開等実施計画● 常に必須
様式第3-1号対象労働者一覧● 定額制サービス以外で必須
様式第3-2号定額制サービスによる訓練に関する対象労働者一覧▲ 定額制サービスの場合
様式第10号OFF-JT講師要件確認書▲ 事業内訓練(自ら運営する認定職業訓練を除く)
様式第11号事前確認書● 常に必須(申請事業主自身の氏名記載が必要
様式第14-1号定額制サービスによる訓練に関する事業所確認票▲ 主たる適用事業所が他事業所分をまとめて提出する場合
様式第14-2号本社一括申請に関する事業所確認票▲ 本社一括申請の場合
様式第19号訓練受講承諾書▲ ③類型(人事・人材育成計画)の場合のみ
様式第21号設備投資加算に係る設備投資実施計画▲ 設備投資加算を申請する場合
参考様式第3号企業内の人事及び人材育成に関する計画▲ ③類型の場合のみ

様式以外の添付として、訓練カリキュラム・受講案内等(常に必須)、事業外訓練なら教育訓練機関との契約書または受講案内・申込書の写し、代理人申請なら委任状なども必要です。

【出典】人材開発支援助成金申請書類ページ(令和8年8月3日〜)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/38819_00011.html /支給要領0601/詳細版パンフレット Ⅳ-3

古い解説記事に注意: 民間の記事では様式第1-3号を「様式第2号」、参考様式第3号を「参考様式第2号」、様式第19号や様式第20号を旧番号のまま書いているものが見られます。現行の様式番号はこの記事の表のとおりです。様式番号は令和8年3月2日改正・4月8日改正で入れ替わっており、古い記事の番号をそのまま信じると添付漏れの原因になります。


3. 様式第1-3号の構成について(第1面・第2面)

様式第1-3号は2ページ構成です。

第1面

  1. 事業展開等の種類(①事業展開/②DX化・GX化/③企業内の人事及び人材育成に関する計画 のいずれか1つを選択)
  2. 事業展開の実施(予定)時期 ※①のみ
  3. 事業展開の内容 ※①のみ →「現在の事業内容及び訓練を行う端緒となる事業展開の内容について具体的に記載してください」
  4. DX化またはGX化の内容 ※②のみ →「訓練を行う端緒となるDX化またはGX化の内容を具体的に記載してください」

第2面

  1. 企業内の人事及び人材育成に関する計画の内容 ※③のみ
  2. 認定経営革新等支援機関による確認(中小企業に限る) ※③のみ
  3. 申請事業主の証明(「上記の事業展開等実施計画の内容に誤りがないことを証明します」+代表者役職名・氏名・日付)→「必ず記入してください

【出典】詳細版パンフレット p.52-53「(参考)主な様式例」

「具体的に記載してください」という指示が、①②のどちらにも明記されている点に注目してください。
具体性が足りない記載は、採択外の原因となります。


4. 書く前に決めること:①②③のどれで出すか

様式第1-3号は3類型のうち1つを選んで書きます。
どれを選ぶかで、必要な書類・準備期間・審査のハードルが大きく変わります。

類型追加で必要になるもの準備の重さ
①事業展開なし(様式第1-3号のみ)軽い
②DX・GX化なし(様式第1-3号のみ)軽い
③人事・人材育成計画参考様式第3号、様式第19号、(中小企業は)認定経営革新等支援機関の事前確認重い

新規事業の立ち上げが目的なら、①事業展開に伴う訓練で申請するのが基本です。 ③も使えますが、認定支援機関の確認の分だけ準備に時間がかかり、管理職研修やリーダーシップ研修は対象外という制約もあります。申請を急ぐ場合、③を選ぶ積極的な理由がない限り①②で組む方が速く進みます(スケジュールの詳細は「逆算スケジュール」)。


5. 【最重要】厚労省の公式サンプル文6例と記載構文

様式第1-3号には、厚労省自身が示す記載例が類型ごとに2例ずつ、計6例あります。
「対象になる訓練の書き方」の公式解答です。

①事業展開の場合

(例1) 現在は●●部品を中心とする製造業を営んでいるが、今後の半導体の需要増を見据え、半導体工場の建設を予定しており、向上[原文ママ]の設備や生産ラインの安定した運用を図るため、各種自動制御技術、電気保全技術、空圧装置制御技術等を習得する訓練を従業員に受講させたい。

(例2) 現在は外食を中心として、飲食点[原文ママ]を経営しているが、テイクアウト及びお弁当の製造販売を新たに開始することに伴い、オンライン予約を可能とするなど、サービスの提供方法も一新するため、予約システムの構築やアプリ開発に必要となる知識や技術を従業員に習得させたい。

②DX化・GX化の場合

(例3) 建設業において、DX化による測量受注の拡大を受けて、ドローンやBIMを活用した測量作業に習熟した従業員の育成を目指し、ドローンの操縦技術やBIMの講習を受講させたい。

(例4) 製造業分野において、現在の溶解炉はコークスを熱源としているが、今後、電気炉に変更することによりCO2の削減を図る。設備やシステムの変更に伴い新たに必要となる知識・技術を習得するためのプログラムを受講させたい。

③企業内の人事及び人材育成に関する計画の場合

(例5) 商品品質の安定化により、不良・欠損の低減を図り、ブランド信頼の確立につなげる。品質管理部門を強化し、更なる品質向上を図るため、製品の仕組みを熟知した機械加工を担当している労働者に、製品の出来を判断するための品質管理や検査に関する知識を身につける訓練を行い、訓練終了後に品質管理部門に配置転換する。

(例6) 顧客ニーズの変化を踏まえ、既存商品の価値向上及び商品ラインナップの見直しを図り、持続的な売上高向上を目指す。営業現場で得られるリアルな市場ニーズや顧客の声を市場分析業務に活かし、より戦略的に商品を企画することを目指すため、営業職員に市場調査やデータ分析に関する研修を受講させた後に、マーケティング部門に配置する。

【出典】詳細版パンフレット p.52-53 様式第1-3号 記載例

5-1. 6例に共通する構文

[現在の事業/現状]+[外部環境・経営判断]
 → [これから何を始める/変える](=事業展開・DX・GXの中身)
 → [そのために誰にどんな知識・技能が新たに必要になるか]
 → [だからこの訓練を受講させたい]

6例すべてに共通するのは、主語が一貫して「会社の事業の変化」であることです。「従業員のスキルアップのため」「社員の能力を高めたいため」から書き始めている例は1つもありません。まず会社側の状況・判断があり、その結果として訓練の必要性が生まれる、という順番で書かれています。

「AI活用研修」「DX基礎研修」といった講座名だけを並べても、この構文が成立していなければ通りません。 令和8年8月3日改正以降は、「特定の職業・職務に必要な知識・技能か」「マナー・リテラシー・概念理解にとどまっていないか」「訓練内容に沿って対象労働者を選定しているか」の3点で判定されるため(詳細は「対象になる研修・ならない研修」)、この構文で書けない訓練は、そもそも対象にならない可能性が高いというシグナルでもあります。

5-2. 自社の言葉に置き換えるときのチェックリスト

  • 「現状」は、いま実際に営んでいる事業の説明になっているか(一般論の業界説明になっていないか)
  • 「これから始める・変える」の部分は、時期や具体的な内容(何を、いつ)が書けているか
  • 「必要になる知識・技能」は、講座名ではなく、業務でどう使うかまで書けているか
  • 受講させる対象労働者の職務と、訓練内容が対応しているか(誰でも受けられる内容になっていないか)

6. ①事業展開で書く場合の実務ポイント

6-1. 「事業展開」の定義は思ったより広い

新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することなどにより、新たな分野に進出することをいう。このほか、事業や業種を転換することや、単に製品又は商品若しくはサービスの製造方法又は提供方法を変更する場合も事業展開にあたる

【出典】支給要領(令和8年8月3日版)0200ラ

新分野への進出だけでなく、既存事業のままでも製造方法・提供方法を変えれば事業展開に該当します。 様式第1-3号の「事業展開の内容」欄には、この定義に当てはまる変化を具体的に書きます。

6-2. 3年ルールと6ヶ月ルール

事業展開は、訓練開始日から起算して3年以内に実施予定のもの、または6ヶ月前までに実施済みのものに限られます。すでに始まっている事業展開でも古すぎると使えず、これから始める事業展開でも遠すぎる将来の計画は使えません。様式第1-3号の「事業展開の実施(予定)時期」欄には、この期間に収まる時期を書く必要があります。

6-3. 裏付け資料は原則不要。ただし求められることがある

計画届の必須添付書類に、事業計画書・経営計画・定款・登記事項証明書・DX推進計画は含まれていません。事業展開の事実は、様式第1-3号への記載+申請事業主の証明(代表者名)による自己申告が原則です。

ただし、労働局はいつでも追加資料を求められます。

これらの書類のほか、労働局長が審査に必要な書類の提出を求める場合があります。

提出された書類だけでなく、事業内職業能力開発計画が策定されていることの確認、訓練等の実施の確認、制度の実施状況の確認、賃金の支払い状況や訓練等に要した経費の支払い状況などについて、適正に審査するために、都道府県労働局が追加的に書類を求めたり、原本を確認することがあります。

判断が難しい場合の労働局の対応も、支給要領に明記されています。

判断が難しい場合には、本人の職務内容と訓練等の内容との関連性等について事業主より聴取すること等により、具体的状況の把握に努めることとなる。具体的状況を把握した上で、不合理な点が認められない場合に、助成対象とすることを原則とする

【出典】詳細版パンフレット p.8, 42/支給要領0901相当部分

つまり判定は「裏付け資料を完璧に揃える」ゲームではなく、「聞かれたときに、事業展開の内容と訓練内容の関連性を口頭でも説明できる状態にしておく」ことが実務上の対応になります。

6-4. 事業展開を途中で取りやめた場合

実施する予定であった事業展開に係る訓練であれば、途中で事業展開を取りやめた場合も助成対象となります。ただし、訓練を受講した時間数が、実訓練時間数の8割以上であることが要件となりますので、事業展開の取りやめに伴い、訓練を中止する場合は、ご留意ください。

【出典】詳細版パンフレット p.54「(参考)よくあるご質問等について」Q1/事業主向けQ&A(令和6年10月版)Q7

このQ&Aは、①に「3年以内」という期間制限が導入される前の版です。期間制限導入後も同じ扱いになるかは一次資料で確認できていないため、事業展開を取りやめる可能性がある場合は、事前に管轄労働局へ確認することをおすすめします。


7. ②DX・GX化で書く場合の実務ポイント

7-1. 計画届提出時点で「具体的な取組内容」が決まっている必要がある

計画届提出時点で、DX等の具体的な取組の内容が決まっていることが原則必要です。

例外的に、経営方針に盛り込まれたDX戦略を事業活動に反映するため、企画・立案等を行う担当者を設置し、その担当者にDX戦略を進める上での具体的な手法を習得させる訓練は対象になり得ます。ただし、カリキュラム全体が単なる事例紹介や用語定義の紹介に終始するものは対象外です。

【出典】事業主向けQ&A(令和6年10月版)A13

7-2. 既にDXに着手済みでもよい

よりDXを推進するため/DXの推進を維持するために必要な知識・技能であれば対象。

「まだDXに着手していない」ことは要件ではありません。すでに進めているDXを次の段階に進めるための訓練も対象になります。

7-3. 令和8年8月3日改正で「DX・GXなら通る」の抜け道がなくなった

令和8年5月14日版までは、対象外訓練の表に「企業内においてDX化やグリーン・カーボンニュートラル化を進める上で必要となる知識及び技能を習得させるための訓練等である場合は除く」という但し書きがありました。この但し書きは令和8年8月3日改正で削除されています。DX・GX関連の訓練であっても、内容が概念理解や一般的なリテラシーにとどまる場合は対象外です。詳しくは「対象になる研修・ならない研修の境界線」で扱っています。

②の記載でもっとも避けるべきなのは、「DXを推進する」という目的だけを書いて、具体的に何をどう変えるかを書かないパターンです。 例3・例4のように、「何の技術を」「どの業務のために」導入するのかまで書く必要があります。


8. ③人事・人材育成計画で書く場合の実務ポイント(最も重い)

③類型は3類型の中でもっとも要件が重く、書類・手続きが増えます。急ぐ場合は①②を優先し、③は「配置転換前提の人材育成」以外に選びようがない場合に検討してください。

8-1. 追加で必要になるもの

  1. 「企業内の人事及び人材育成に関する計画」(参考様式第3号)の策定。要件は5つ:
    • 生産性向上・事業の持続的発展に結びつく人材像、人事配置、訓練内容になっている
    • 現状の課題や将来の事業規模・業務量予測に基づき、今後必要となる職務・職種・人員構成・配置基準を整理し、実際に配置が見込まれる対象労働者の範囲を定めている
    • 今後従事予定の職務における段階的なキャリアアップが示されている
    • 訓練効果を測れる生産性向上やスキル習得等の指標が設定されている
    • 人員削減、労働者の意向を考慮しない人事配置、退職に追い込む職務変更、処遇引下げ前提の配置転換など労働者の不利益につながる内容でないこと
  2. 中小企業は認定経営革新等支援機関による事前確認が必須
  3. 訓練を受講する労働者から**訓練受講承諾書(様式第19号)**を取得
  4. 訓練終了後、全ての支給対象労働者を予定していた職務に従事させた上で、**実施状況報告書(様式第20号)**を提出
  5. 訓練は、訓練開始日時点で従事している職務とは異なる職務に関連するものでなければならない

【出典】支給要領0306/詳細版パンフレット p.15-16

8-2. 認定経営革新等支援機関の確認欄

様式第1-3号の第2面「6 認定経営革新等支援機関による企業内の人事及び人材育成に関する計画の確認(中小企業に限る)」欄に、認定支援機関が次を記入します。

  • 確認項目:「企業内における労働者のキャリア形成を効果的に促進するとともに、企業の生産性の向上や事業の持続的な発展に資する内容となっているか」
  • 所見、認定支援機関ID番号、住所、名称、代表者役職名・氏名、担当者氏名、連絡先、確認年月日
  • 確認文言:「人事及び人材育成に関する計画の内容について、上記のとおり確認しました。」

確認を受けるために提出するのは、①職業訓練実施計画届(様式第1-1号)②事業展開等実施計画(様式第1-3号)③人事及び人材育成に関する計画(参考様式第3号)④訓練カリキュラム・受講案内等です。

手順の順序に注意: 認定支援機関の確認 → 対象労働者から訓練受講承諾書(様式第19号)を取得 → 計画届提出、という順番を守る必要があります。承諾書を先に取ってしまうと手戻りになります。

【出典】支給要領0601イ(ハ)(ル)(ヲ)/詳細版パンフレット p.15-16, 42

8-3. 誓約事項

様式第1-3号第2面には、申請事業主の証明欄に加えて誓約事項欄があります。

本計画に基づく人事の実施において、生産性向上を名目とした人員削減、労働者の意向を考慮しない人事配置、退職に追い込むための不適当な職務変更、処遇を引き下げることが前提の配置転換等、労働者の不利益につながるような取扱いは行わない。なお、このような不適切な取扱が行われていた事実が確認された場合には、直ちに助成金を全額返還する。

合理的な理由なく対象労働者を予定職務に従事させない場合、または従事の前後で賃金・手当を合理的な理由なく引き下げた場合は、不支給決定または支給決定取消になります。合理的な理由に該当するのは、天災等のやむを得ない理由、労働者都合の退職、事業主の責めによらない病気・怪我、労働者の責に帰すべき理由による解雇、労働者の死亡、育児・介護等の事情変更、計画策定時に想定されていなかった状況変化による経営判断の変更などです。

8-4. 実施状況報告の期限

訓練開始日から起算して3年を経過する日の翌日から起算して2ヶ月以内。ただし、予定していた職務に全ての支給対象労働者を従事させた場合には、全ての支給対象労働者が従事することとなった日の翌日から提出できる。

【出典】支給要領1103

期限までに補正しない場合は、不支給決定または支給決定取消になります(支給要領1102ロ)。

8-5. ③類型固有の対象外事由

表1-⑧(管理職研修・マネジメント研修・リーダーシップ研修)と表1-⑩(認定経営革新等支援機関が実施する訓練)は、③類型にのみ適用される対象外事由です。また、③類型は設備投資加算の対象外定額制サービスでは実施不可という制約もあります。


9. 裏付け資料はどこまで求められるか

計画届段階で必須なのは、様式第1-1号・様式第1-3号・様式第3-1号(または3-2号)・様式第11号・訓練カリキュラム・受講案内等です。事業計画書や登記事項証明書の提出は原則求められません。

ただし、支給申請時には次のような突き合わせが行われます。

確認項目突き合わせる書類落ちるポイント
対象労働者が計画届時と支給申請時で一致しているか対象労働者一覧(様式第3-1号)+OFF-JT実施状況報告書(様式第8-1号)異なる場合は支給対象労働者とならない
8割以上受講しているか職業訓練実施計画届+訓練カリキュラム+OFF-JT実施状況報告書8割未満は不支給
三者証明があるかOFF-JT実施状況報告書に訓練実施者・申請事業主・対象労働者の三者証明(対象労働者は直筆署名代筆・印字は不可
計画に基づく訓練か計画届提出時と支給申請時の受付番号、訓練コースの名称・内容が同一であること名称が違うだけでも指摘対象

【出典】支給要領0901〜0905

つまり、様式第1-3号に書いた内容と、実際に実施する訓練の名称・内容は最後まで一致させておく必要があります。 計画届提出後にカリキュラムを大きく変えると、この突き合わせで指摘される可能性があります。


10. 書いてはいけないこと・よくある不備

10-1. 参考例のコピペ

厚労省は、事業内職業能力開発計画の作成手引きで次のように明記しています。

各社独自の計画を作成してください。ここに記載されている内容をそのまま写して申請することが無いようご注意下さい。

【出典】「事業内職業能力開発計画」作成の手引き https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/jigyounaikaihatukeikaku_2.html

参考例のコピペは、厚労省自身が名指しで警告している不備です。 様式第1-3号についても同様に、公式サンプル文をそのまま使うのではなく、自社の状況に置き換えて書く必要があります。

10-2. 事前確認書(様式第11号)の記名者

「第1 共通要領」の0901ロ(イ)cによらず、必ず申請事業主自身が内容を確認した旨の氏名が記載されたものを提出すること。

【出典】支給要領0601イ(ロ)

社労士に依頼している場合でも、様式第11号は申請事業主自身の氏名で記名する必要があります。社労士任せの記名は認められません。

10-3. 書類は原則として差し替え不可

各助成メニューで求めている添付書類は、原本から転記および別途作成したものではなく、実際に事業場ごとに調製し記入しているもの、または原本を複写機を用いて複写したものを提出してください。原本から加工・転記したものや別途作成された書類と確認された場合はその書類は無効となります。また、原則として、提出された書類により審査を行います。不正受給を防止する観点から、一度提出された書類について、事業主の都合などによる差し替えや訂正を行うことはできませんので、慎重に確認した上で提出するようにしてください。

【出典】詳細版パンフレット p.8

労働局からの補正指示に応じる形の修正はできますが、自社の都合による差し替えはできません。 提出前に、様式第1-3号の内容が第5章の構文に沿っているか、事業展開の時期が3年・6ヶ月のルールに収まっているかを、必ず確認してから提出してください。

10-4. 事実と異なる記載

提出書類に事実と異なる記載や証明を行った場合は不支給事由になります(軽微な誤りで労働局長が認めた場合を除く)。様式第1-3号の「申請事業主の証明」欄は、内容に誤りがないことを代表者名で証明する欄です。


11. よくある質問

事業展開等実施計画には何を書けばよいですか

いまの事業と、訓練のきっかけになる事業展開(またはDX・GX)の内容を具体的に書きます。様式は第1-3号です。「スキルアップしたい」だけでは足りず、訓練後に何が変わるか、因果関係の説明が必要です。厚労省の公式サンプル文(第5章)の構文に沿って書くのが確実です。

参考例をそのまま使ってもよいですか

おすすめしません。厚労省は「各社独自の計画を作成してください」「そのまま写して申請することが無いよう」と明記しています。構文は参考にしつつ、自社の状況に置き換えて書く必要があります。

事業展開の裏付け資料(事業計画書など)は必要ですか

計画届の必須添付書類には含まれていません。様式第1-3号への記載と、代表者による証明が原則です。ただし労働局はいつでも追加資料の提出や、職務内容と訓練内容の関連性の聴取を求めることができます。

まだ具体的な新規事業のアイデアがない場合でも対象になりますか

なりません。計画届の時点で、どの事業展開のために何を習得させるかを具体的に書けなければ、①事業展開の対象にはなりません。「これから考えます」という状態では、様式第1-3号を埋めきれません。

事業展開の実施時期に制限はありますか

あります。訓練開始日から起算して3年以内に実施予定、または6ヶ月前までに実施済みのものに限られます。この期間から外れる事業展開は①事業展開の対象になりません。

途中で事業展開を取りやめた場合はどうなりますか

①②であれば、計画どおり訓練を実施していれば、結果的に事業展開を取りやめた場合も助成対象になるとされています(旧版のQ&Aに基づく。実訓練時間数の8割以上受講が前提)。③は扱いが異なり、合理的な理由なく予定職務に従事させない場合は不支給・支給決定取消の対象になります。

③人事・人材育成計画を選ぶとどう変わりますか

参考様式第3号(人事及び人材育成に関する計画)の策定、様式第19号(訓練受講承諾書)の取得が追加で必要になり、中小企業は認定経営革新等支援機関の事前確認が必須になります。手順は「認定支援機関の確認→承諾書取得→計画届提出」の順を守る必要があります。準備に時間がかかるため、急ぐ場合は①②での申請を検討してください。

様式第1-3号は誰が記名しますか

「申請事業主の証明」欄は代表者役職名・氏名で記名します。あわせて必要になる様式第11号(事前確認書)も、社労士ではなく申請事業主自身の氏名での記載が求められます。


12. まとめ

  • 様式第1-3号は本コース固有の書類。「なぜこの訓練が必要か」を文脈で説明する
  • 書き方は「現状+外部環境→変化の内容→必要な知識・技能→受講理由」の一本の構文。厚労省の公式サンプル6例がそのまま見本になる
  • 主語は常に「会社の事業の変化」。従業員のスキルアップから書き始めない
  • ①事業展開は3年以内予定・6ヶ月前まで実施済みの期間制限あり。③人事・人材育成計画は認定支援機関の事前確認が必須で準備が重い
  • 参考例のコピペ、社労士任せの記名、提出後の差し替えは、いずれも厚労省が明示的に注意している落とし穴

自社の状況をどう様式に落とし込めばよいか、実例つきの資料でまとめています。
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本記事は2026年9月5日時点の情報に基づいています。制度は年度途中でも改正される場合があります。最新の要件は厚生労働省のホームページ、または管轄の都道府県労働局でご確認ください。


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