社員1人あたりの研修費の目安は、年3万6,036円です。産労総合研究所が2025年10月8日に公表した調査で、企業が2024年度に使った教育研修費用を、正規従業員の数で割った平均です。中小企業に限ると3万1,788円でした。正社員30人の会社に当てはめると、年間でおよそ95万円になります。
研修費は2020年度の2万4,841円から4年続けて増え、今後1〜3年で総額を増やす見込みの企業も57.7%あります。ただし、この目安と自社の研修費を比べるときは、何を研修費に数えるかをそろえる必要があります。外部研修の受講料だけを数えた自社の金額と比べると、実際より少なく見えてしまうためです。研修予算を組む前に、目安の金額、自社の研修費の数え方、お金をかける研修の分け方を確かめます。
社内で新規事業を立ち上げる研修の費用と進め方は、資料にまとめています。
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この記事の目次
- 1人あたり年3万6,036円、中小企業は3万1,788円
- 社員数に当てはめると、年間の総額はいくらか
- 研修費は4年続けて増えている
- 自社の研修費は、同じ数え方で出す
- 厚生労働省の「2.0万円」は数えているものが違う
- お金をかけている研修は、新入社員と階層別が中心
- 研修予算は二つの枠に分けて組む
- Q&A
1人あたり年3万6,036円、中小企業は3万1,788円
産労総合研究所の「2025年度 教育研修費用の実態調査」は、2025年6〜7月に、上場企業と同社の会員企業から選んだ約3,000社に聞いた調査です。回答したのは159社で、1,000人以上が49社、300〜999人が50社、299人以下が60社でした。
2024年度の従業員1人あたりの教育研修費用は36,036円で、前の調査より1,430円増えました。企業規模別では次のとおりです。
| 調査での呼び方 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
|---|---|---|---|
| 大企業 | 34,730円 | 41,050円 | 39,553円 |
| 中堅企業 | 31,326円 | 32,268円 | 36,195円 |
| 中小企業 | 30,636円 | 31,087円 | 31,788円 |
| 全体 | 32,412円 | 34,606円 | 36,036円 |
2024年度は、中堅企業が前回より3,927円増え、大企業は1,497円減りました。中小企業は701円増えています。大企業と中小企業の差は7,765円です。
大企業・中堅企業・中小企業がそれぞれ従業員何人の会社を指すかは、公表されている結果には書かれていません。
社員数に当てはめると、年間の総額はいくらか
1人あたりの金額に、自社の正社員の数を掛けると、年間の研修費の目安になります。
| 正社員の数 | 中小企業の平均(31,788円)で計算 | 全体の平均(36,036円)で計算 |
|---|---|---|
| 10人 | 約32万円 | 約36万円 |
| 30人 | 約95万円 | 約108万円 |
| 50人 | 約159万円 | 約180万円 |
| 100人 | 約318万円 | 約360万円 |
表の金額は、調査の平均に人数を掛けて計算したものです。調査が企業の総額として示した数字ではありません。平均は回答した159社のもので、業種や会社の方針によって上下します。予算を決める出発点として使い、自社で必要な研修を積み上げて調整してください。
研修費は4年続けて増えている
| 年度(実績) | 1人あたり教育研修費用 |
|---|---|
| 2017年度 | 38,752円 |
| 2018年度 | 34,607円 |
| 2019年度 | 35,628円 |
| 2020年度 | 24,841円 |
| 2021年度 | 29,904円 |
| 2022年度 | 32,412円 |
| 2023年度 | 34,606円 |
| 2024年度 | 36,036円 |
2020年度に大きく減り、その後は毎年増えています。回答する企業は年ごとに違うため、同じ会社が研修費を増やし続けたという意味ではありません。
今後1〜3年の教育研修費用の総額を「かなり増加する見込み」と答えた企業は9.6%、「やや増加する見込み」は48.1%で、あわせて57.7%でした。増やす理由として同社は、「人的資本経営による人材育成投資の必要性」「教育体系の見直し」「社員の増加」を挙げています。
自社の研修費も、同じ計算方法で実施しましょう
目安と比べる前に、自社の研修費を調査と同じ範囲で集計します。この調査が研修費に数えているのは、次の費用の合計です。
- 正社員向けに自社で開いた研修の会場費・宿泊費・飲食費
- 外部講師費
- 教材費
- 外部の教育機関への研修委託費、セミナー・講座の参加費
- eラーニング・通信教育費
- 公的資格の取得の援助費
- 受講者・社内講師の日当・手当・交通費
- 事務局費用
- その他、研修に必要な費用
研修を担当する社員や受講者の給与は含みません。合計を正社員の数で割ると、調査と同じ1人あたりの金額になります。パートや契約社員は人数に入れません。
数え方をそろえないと、読み違えが起きます。たとえば、外部研修の受講料だけを集計して、1人あたり2万円だった会社があるとします。これを36,036円と比べると、平均より大きく少なく見えます。しかし、研修に行く交通費、eラーニングの利用料、資格取得の援助、社内研修の会場費を足すと、平均に近づく可能性があります。反対に、研修以外の費用まで入れて集計すると、実際より多く見えます。
研修を使って社員に新規事業を担当させる場合の、費用と進め方はこちらの資料で確認できます。
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厚生労働省の「2.0万円」は計算対象が異なります
研修費の目安として、厚生労働省の能力開発基本調査の「労働者1人あたりOFF-JT費用2.0万円」が引用されることもあります。この金額は、仕事を離れて受ける研修(OFF-JT)の費用だけで、費用を出した企業だけの平均です。eラーニングや資格取得の援助などを含む産労総合研究所の36,036円とは、計算範囲が違います。
同じ調査で、2024年度にOFF-JTや自己啓発の支援に費用を出した企業は54.4%でした。正社員にOFF-JTを実施した事業所は、30〜49人の事業所で53.0%、1,000人以上で85.4%です。小さな会社ほど、研修に費用をかけていない会社が多くなります。
就労条件総合調査の「教育訓練費670円」は1か月あたりの金額で、2020年の数字です。年額や最近の数字とは比べられません。
お金をかけている研修は、新入社員と階層別が中心
産労総合研究所は、2025年度に特に重点的に取り組む教育を、22項目の中から三つまで選んでもらっています。公表されている上位10項目は次のとおりです。
| 重点的に取り組む教育(三つまで) | 割合 |
|---|---|
| 新入社員教育 | 42.2% |
| 中堅社員教育 | 22.4% |
| 上級管理者教育 | 20.4% |
| 中級管理者教育 | 19.7% |
| 選抜型幹部候補者教育 | 19.0% |
| 初級管理者教育 | 17.0% |
| メンタルヘルス・ハラスメント教育 | 15.0% |
| DX・デジタル教育 | 15.0% |
| 新入社員フォロー教育 | 12.9% |
| 技術・技能者教育 | 11.6% |
上位10項目のうち7項目は、新入社員、中堅社員、管理職といった階層ごとの教育です。将来の幹部を選んで育てる「選抜型幹部候補者教育」は19.0%で、5番目でした。新規事業やイノベーションに関する項目は、公表されている上位10項目に入っていません。
研修予算は二つの枠に分けて組みましょう
重点テーマの上位を見ると、多くの会社は、全員が順番に受ける階層別の研修にお金をかけています。研修予算を組むときは、この枠とは別に、将来の幹部を選んで育てる枠を分けておくと、次の経営を担う人にいくら使っているかがはっきりします。
- 階層別の枠。新入社員、中堅社員、管理職など、全員が順番に受ける研修
- 選抜の枠。将来の幹部や後継者の候補を選び、経営に近い経験を積ませる研修
新価値創造プログラムという方法

新価値創造プログラムは、受講者が自社の新規事業または社内プロジェクトを実際に立ち上げる研修です。全10回・約6カ月のあいだに、受講者は一人一つ、必ず事業かプロジェクトを立ち上げます。
進め方は次の順番です。
- アイデアを「誰に、何を提供するか」まで言葉にする
- 想定する顧客に話を聞き、本当の課題を見つける
- 競合と比べて、自社が提供する価値の違いをはっきりさせる
- 試作品をつくり、収益の見込みを立てる
- 最終回で事業計画を発表し、実際の顧客の獲得を目指す
複数の会社の社員が一緒に受講するため、自社の外の人から意見をもらいながら進めます。具体的な新規事業のアイデアがない段階からでも参加でき、最初の2回はアイデアを出すところから始めます。
研修予算の中では、選抜の枠に入る研修です。研修費の数え方では「外部の教育機関への研修委託費」にあたります。階層別の研修とは別に、選んだ社員に新しい事業を一つ立ち上げさせる研修として、予算を組むことができます。
研修の費用の組み方と、始めるまでの手順は資料にまとめています。
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Q&A
社員研修の費用の相場は、1人あたりいくらですか
産労総合研究所の調査では、2024年度の従業員1人あたりの教育研修費用は年36,036円でした。会場費、講師費、外部への研修委託費などの合計を、正社員の数で割った金額です。給与は含みません。
中小企業の研修費は、1人あたりいくらですか
同じ調査で、中小企業は年31,788円、中堅企業は36,195円、大企業は39,553円でした。
社員30人の会社なら、研修費は年間いくらが目安ですか
中小企業の平均31,788円に30人を掛けると、およそ95万円です。全体の平均36,036円で計算すると、およそ108万円になります。調査の平均から計算した目安で、業種や会社の方針によって上下します。
研修費は増えていますか
1人あたりの金額は、2020年度の24,841円から2024年度の36,036円まで、4年続けて増えています。今後1〜3年で総額を増やす見込みの企業は57.7%でした。
自社の研修費と比べるとき、何に気をつければよいですか
研修費に数える範囲をそろえることです。産労総合研究所の金額には、外部研修の費用のほか、交通費、eラーニング、資格取得の援助、社内研修の会場費などが入っています。給与は含まず、正社員の数で割っています。
厚生労働省の2.0万円とは何が違いますか
厚生労働省の能力開発基本調査の2.0万円は、OFF-JTの費用だけで、費用を出した企業の平均です。産労総合研究所の36,036円とは数えている範囲が違うため、直接は比べられません。
新規事業を社内で立ち上げる研修の費用と進め方は、次の資料にまとめています。
▼ 【2026年8月改正対応】新規事業研修で使えるリスキリング助成金の全て
本記事は2026年10月3日時点の公開情報に基づいています。最新の数値は各出典でご確認ください。
[出典]
産労総合研究所「2025年度(第49回)教育研修費用の実態調査」2025年10月8日公表
https://www.sanro.co.jp/news/n117342.html
https://hondana-storage.s3.amazonaws.com/1244/files/pr_2510.pdf.pdf
産労総合研究所「2024年度(第48回)教育研修費用の実態調査」2024年10月9日公表
https://www.e-sanro.net/share/pdf/research/pr_2410.pdf
産労総合研究所「2023年度(第47回)教育研修費用の実態調査」2023年11月7日公表
https://www.e-sanro.net/share/pdf/research/pr_2311.pdf
厚生労働省「令和7年度『能力開発基本調査』の結果を公表します」2026年7月31日公表
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/newpage_00233.html
厚生労働省「令和3年就労条件総合調査の概況」労働費用
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/21/dl/gaiyou03.pdf

