企業で新規事業に関わる462人に、今後取り組む新規事業の施策を聞いたところ、「社内起業家(イントレプレナー)の育成」が34.8%で最も多くなりました。新規事業支援のSpreadyが2026年9月10日に公表した調査で、この項目が1位になるのは3年連続です。
一方、新規事業を専門に担う部署を新しくつくる施策は19.3%で、前年の調査の32.9%から13.6ポイント下がりました。同社はこの変化を、調査の中で最も大きいものとしています。新規事業を社内で始めるなら、新しい部署を用意する前に、社内の誰に任せ、どう育てるかを決める必要があります。
社内で新規事業を立ち上げる研修の費用と進め方は、資料にまとめています。
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この記事の目次
- 施策の1位は3年続けて「社内起業家の育成」
- 専門部署の新設は32.9%から19.3%に
- 課題の1位は「アイデアの質」、前年より増えた
- AIを使っていない組織は4.1%、ただし「当たり前の答えしか出ない」
- 新規事業で成果が出ている企業は約2割
- 社内で誰に任せるか
- Q&A
施策の1位は3年続けて「社内起業家の育成」
社内起業家(イントレプレナー)とは、会社に在籍したまま、社内で新しい事業を立ち上げる人のことです。
調査は2025年6月26日から8月31日に行われ、462人が回答しました。今後取り組む新規事業の施策(複数回答)の結果は次のとおりです。
| 今後取り組む施策 | 割合 |
|---|---|
| 新規事業を担う人材(社内起業家)の育成 | 34.8% |
| オープンイノベーション、アクセラレータープログラム | 23.2% |
| 社員が手を挙げて参加する新規事業プログラム | 21.2% |
| スタートアップへの出資 | 21.0% |
| M&A | 19.9% |
| その他 | 19.7% |
| 新規事業を専門に担う部署の新設 | 19.3% |
| 知的財産や自社の技術・設備の洗い出しと活用 | 14.5% |
| 海外市場の開拓 | 12.3% |
| 社内ベンチャー制度の運営 | 9.7% |
| 客員起業家(社外の起業家を一時的に迎える制度)の活用 | 2.8% |
| 代理店や外部事業者の活用 | 2.4% |
社内起業家の育成は、2024年11月の調査、2025年の調査に続いて1位でした。ただし割合そのものは、2025年の調査の38.6%から34.8%に下がっています。1位を保ったまま、割合は4ポイント近く低くなったことになります。
調査の回答者は、同社が主催する新規事業のカンファレンスの参加者です。すでに新規事業に関わっている人が対象で、業種は製造業が53.0%を占めます。企業規模の内訳は公表されていません。また、年ごとに回答者が異なるため、前年との差は同じ企業の方針が変わったことを示すものではありません。
専門部署の新設は32.9%から19.3%に
大きく下がったのは、新規事業を専門に担う部署を新しくつくる施策です。本業の部署から切り離し、新規事業だけを担当する部署や子会社をつくるやり方で、業界では「出島組織」と呼ばれています。
2025年の調査では32.9%で2位でしたが、今回は19.3%でした。13.6ポイントの低下です。同社は調査結果の中で、次のように書いています。
組織の新設から人材育成へと重心が移りつつある。
ただし、回答者に「なぜ専門部署をつくらないのか」を聞いた設問の結果は公表されていません。理由を示すデータはなく、上の一文は調査会社による解釈です。
数字として確かなのは二つです。専門部署をつくると答えた人の割合が大きく下がったこと。そして、社内起業家の育成が3年続けて1位にあることです。
研修を使って社員に新規事業を担当させる場合の、費用と進め方はこちらの資料で確認できます。
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課題の1位は「アイデアの質」、前年より増えた
新規事業のアイデアを考えるうえでの課題(上位3つまで選択)では、「アイデアの質が不足している」が48.7%で最も多くなりました。
| アイデアを考えるうえでの課題 | 2026年公表 | 2025年公表 |
|---|---|---|
| アイデアの質が不足している | 48.7% | 43.2% |
| 部門や会社のビジョン、既存事業と整合がとれない | 37.0% | 41.9% |
| 社内のアイデアだけだと偏りがある | 36.4% | 37.1% |
| アイデアの数が不足している | 34.4% | 公表なし |
| アイデアが特定の人に頼っている | 33.8% | 公表なし |
| アイデアを考えるのに時間がかかる | 22.7% | 公表なし |
| アイデアの根拠となるデータがほしい | 20.1% | 公表なし |
| 課題はない | 5.4% | 公表なし |
アイデアの質を課題に挙げた割合は、前年の43.2%から5.5ポイント増えました。「アイデアが特定の人に頼っている」も33.8%あり、3人に1人がアイデアを出せる人の少なさを課題にしています。
AIを使っていない組織は4.1%、ただし「当たり前の答えしか出ない」
新規事業の仕事でAIを使っていないと答えた人は4.1%でした。前年の調査の9.0%から半分以下になっています。
一方で、AIを使ううえでの課題(上位3つまで選択)には、次のような答えが並びました。
| AIを使ううえでの課題 | 割合 |
|---|---|
| 当たり前の回答しか出てこない | 32.9% |
| 使いこなすスキルや知識が足りない | 31.2% |
| 学習させるデータや自社の情報の準備が足りない | 30.1% |
| 自社のデータを入力するのが不安 | 22.9% |
| 回答が信用できない | 22.1% |
| 課題は感じていない | 20.6% |
| 利用料金が高い | 9.3% |
| その他 | 6.3% |
| AIを活用していない | 4.1% |
最も多かったのは「当たり前の回答しか出てこない」の32.9%です。
AIを使う組織が増えた一方で、アイデアの質を課題に挙げる人も増えました。調査はこの二つを結びつけた分析をしていません。ただ、二つの数字を並べると、AIを使うようになっても、アイデアの質の問題はまだ解決していないことがわかります。
新規事業で成果が出ている企業は約2割
新規事業で成果を出すこと自体が簡単ではない、というデータもあります。
PwCコンサルティングが売上高10億円以上の企業を対象に行った2025年の調査では、投資した資金を回収できる段階まで進んだ案件を一つでも持つ企業は約2割でした。目標とする主力事業にまで育った企業は1割に満たないとしています。
同社はこの調査の中で「成功企業は、取り組む案件内容よりも組織づくりに特徴がある」と見出しを立てています。どの案件を選ぶかよりも、社内の体制や人の育て方に、成果の出ている企業とそうでない企業の違いがあるという整理です。
社内で誰に任せるか
社内起業家の育成を始める会社が決めることは、三つに整理できます。
- 任せる人を、手を挙げた社員から選ぶ。 調査では、社員が自分から応募して参加する新規事業プログラムを今後の施策に挙げた人が21.2%いました。会社が指名するだけでなく、応募の機会をつくると、新規事業をやりたい社員が社内にどれだけいるかがわかります
- 実際の事業を一つ担当させ、途中で数字が落ちても続けさせる。 HR総研の2025年の調査では、次世代リーダーの育成で成果が出ている企業の60%が、短期の業績悪化を覚悟で挑戦の機会を優先していました。成果が出ていない企業では32%です
- アイデアを社外の人に見てもらう工程を入れる。 今回の調査で「社内のアイデアだけだと偏りがある」と答えた人は36.4%でした。顧客や取引先に案を見せて意見を聞く機会を、計画の段階で決めておきます
新価値創造プログラムという方法

新価値創造プログラムは、受講者が自社の新規事業または社内プロジェクトを実際に立ち上げる研修です。全10回・約6カ月のあいだに、受講者は一人一つ、必ず事業かプロジェクトを立ち上げます。
進め方は次の順番です。
- アイデアを「誰に、何を提供するか」まで言葉にする
- 想定する顧客に話を聞き、本当の課題を見つける
- 競合と比べて、自社が提供する価値の違いをはっきりさせる
- 試作品をつくり、収益の見込みを立てる
- 最終回で事業計画を発表し、実際の顧客の獲得を目指す
複数の会社の社員が一緒に受講するため、自社の外の人から意見をもらいながら進めます。具体的な新規事業のアイデアがない段階からでも参加でき、最初の2回はアイデアを出すところから始めます。
新規事業の専門部署を新しくつくらなくても、社内の人材に新規事業を担当させ、育てることができます。調査で「社内のアイデアだけだと偏りがある」と答えた人は36.4%でしたが、このプログラムでは他社の社員や想定する顧客の意見を聞く工程が、最初から進め方に入っています。上の手順の3を、研修の中で行う形です。
研修の費用の組み方と、始めるまでの手順は資料にまとめています。
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→ 関連記事:次世代リーダー育成で成果が出る会社の6割、短期業績より挑戦機会を優先
→ 関連記事:後継者不在率50.1%|次の社長を社内から出すために、就任前の数年で何をさせるか
Q&A
イントレプレナーとは何ですか
会社に在籍したまま、社内で新しい事業を立ち上げる人のことです。日本語では社内起業家と呼ばれます。
新規事業で企業が今後取り組む施策で、最も多いのは何ですか
Spreadyが2026年9月に公表した調査では、「社内起業家の育成」が34.8%で最も多く、3年連続の1位でした。2位はオープンイノベーション・アクセラレータープログラムの23.2%です。
出島組織とは何ですか。減っているのですか
本業の部署から切り離し、新規事業だけを担当する部署や子会社をつくるやり方です。同じ調査で、今後の施策に挙げた人は前年の32.9%から19.3%に下がりました。ただし調査は、減った理由を示していません。
新規事業のアイデアで、最も多い課題は何ですか
「アイデアの質が不足している」で48.7%でした。前年の43.2%から増えています。
新規事業でAIはどのくらい使われていますか
同じ調査で、AIを使っていないと答えた人は4.1%でした。AIを使ううえでの課題では「当たり前の回答しか出てこない」が32.9%で最も多くなっています。
中小企業にも当てはまるデータですか
この調査は企業規模の内訳を公表しておらず、回答者は新規事業のカンファレンスの参加者です。中小企業だけのデータではありません。
新規事業を社内で立ち上げる研修の費用と進め方は、次の資料にまとめています。
▼ 【2026年8月改正対応】新規事業研修で使えるリスキリング助成金の全て
本記事は2026年9月26日時点の公開情報に基づいています。最新の数値は各出典でご確認ください。
[出典]
Spready株式会社「Spready新規事業実態調査2026」2026年9月10日公表
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000097.000040560.html
Spready株式会社「Spready新規事業実態調査2025 in Summer」2025年10月3日公表
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000077.000040560.html
PwCコンサルティング合同会社「新規事業開発の取り組みに関する実態調査2025」
https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/new-business-development-survey-2025.html
HR総研「『次世代リーダーの育成』に関するアンケート 結果報告」2025年10月22日公表
https://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=410

