次世代リーダー育成で成果が出る会社の6割、短期業績より挑戦機会を優先|候補者に何を任せるか【2026年9月更新】

次世代リーダーの育成に成果が出ている企業の60%が、「短期的な業績悪化のリスクを取ってでも挑戦機会を優先する」と答えました。HR総研が企業の人事責任者・担当者220人に調べ、2025年10月に公表した結果です。成果が出ていない企業では32%にとどまりました。

未経験分野への配置や、意図的に競争環境をつくる取り組みでも、成果の出ている企業は2倍以上の割合で実施しています。一方、前年の同じ調査では、選抜研修に座学を取り入れている割合は、成果が出ていない企業のほうが高くなっていました。次世代リーダーを育てるなら、研修の内容よりも先に、候補者にどんな仕事を任せるかを考える必要があります。

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この記事の目次

  1. 成果が出ている企業は6割
  2. 挑戦させる企業ほど成果が出ている
  3. 座学は、成果の出ていない企業のほうが多い
  4. 86%が「視座の差」に直面、対策は33%
  5. 国の後継者育成も同じ方向
  6. 候補者に何を任せるか
  7. Q&A

目次

成果が出ている企業は6割

HR総研の調査は2025年7月25日から31日に行われ、220件の有効回答を得ています。次世代リーダーの育成について、「期待されるポジションへの就任」で成果が出ているかを尋ねました。

「成果が出ている」は6%、「やや成果が出ている」は53%で、合わせて59%です。残る4割の企業では、育てた人材が、会社が期待するポジションに就いていません。

調査の回答者は企業の人事部門で、対象を中小企業に限っていません。また数字は、成果の有無とそれぞれの取り組みが同時に見られることを示すもので、取り組みが成果を生んだという因果関係までは示していません。そのうえで、成果の出ている企業と出ていない企業のあいだには、はっきりした差が出ています。


挑戦させる企業ほど成果が出ている

成果が出ている企業と出ていない企業で、取り組みの実施率を比べました。

取り組み成果が出ている企業成果が出ていない企業差
求める人材像を体系的に定義し共有68%46%22ポイント
個人別の育成計画または全社共通の育成プログラム60%25%35ポイント
未経験分野への配置32%13%19ポイント
意図的な競争環境の提供53%23%30ポイント
短期業績悪化のリスクを取っても挑戦機会を優先60%32%28ポイント

差は二つの種類に分かれます。

一つは、育成を計画として組んでいるかどうかです。求める人材像を言葉で定め、個人別の計画や全社のプログラムを持つ企業は、成果が出ている側に多く見られます。

もう一つは、候補者に新しいことへ挑戦させているかどうかです。未経験の分野に配置する、競争させる、短期の業績が落ちても挑戦を優先する。この三つの実施率は、成果の出ている企業で2倍前後になっています。

計画だけ、あるいは挑戦だけではありません。成果の出ている企業は、計画を立てたうえで、その中で挑戦させています。

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座学は、成果の出ていない企業のほうが多い

HR総研は前年にも同じテーマの調査を行っています。2024年7月22日から29日に実施し、215件の有効回答を得ました。

選抜研修の内容を比べると、座学研修を取り入れている割合は、成果が出ている企業で62%、出ていない企業で71%でした。成果の出ていない企業のほうが、座学を多く使っています。

差が大きかったのは、現役の経営者や役員との対話です。成果が出ている企業の57%が選抜研修に取り入れていたのに対し、出ていない企業は27%でした。差は30ポイントです。

座学が不要だという結果ではありません。ただ、座学を多く取り入れている企業ほど成果が出ている、という結果でもありませんでした。成果が出ている企業とそうでない企業で大きく違ったのは、経営者や役員と直接話す機会のほうです。


86%が「視座の差」に直面、対策は33%

次世代リーダーの育成が急がれる理由を示す調査もあります。

日本経済新聞社が企業の人事・育成担当者と経営層217人に調べ、2026年6月に公表した結果では、86%が世代間の「視座の差」に直面していると答えました。視座の差がリーダー育成の質に影響すると答えた割合は88%、経営課題だと認識している割合は84%です。

一方で、対策に取り組んでいる企業は33%にとどまりました。9割近くが問題だと認めながら、実際に対策を始めているのは3社に1社です。

視座の差を埋める方法について、HR総研の二つの調査からは同じ答えが読み取れます。経営者と直接話すこと、そして実際に判断を任せることです。


国の後継者育成も同じ方向

民間の調査からわかることは、国が後継者育成で勧めている方法とも一致します。

中小企業庁は後継者育成について「新規事業を経営の観点から思考するなど、実践的な学びを通した後継者育成が必要」としています。そのうえで、新規事業を通じた戦略立案能力、発信力、実行力を重要な能力に挙げています。

次世代リーダーと後継者は、呼び方が違うだけで、育てる中身は重なります。どちらも、将来の経営を任せる人に、いまのうちから経営の立場で判断させる経験を積ませることです。

→ 関連記事:後継者不在率50.1%|次の社長を社内から出すために、就任前の数年で何をさせるか


候補者に何を任せるか

二つの調査の数字から、次世代リーダーを育てる会社が取る手順は四つに整理できます。

  1. 求める人材像を先に言葉にする。 成果の出ている企業の68%が、人材像を体系的に定義し社内で共有しています。出ていない企業では46%です
  2. 育成を計画にする。 個人別の計画か全社のプログラムを持つ企業は、成果が出ている側で60%、出ていない側で25%でした
  3. 結果が出る挑戦を任せ、短期の業績悪化を受け入れる。 挑戦機会を優先する企業は、成果の出ている側で60%、出ていない側で32%です
  4. 経営者と直接話す場をつくる。 選抜研修に経営者との対話を入れている企業は、成果の出ている側で57%、出ていない側で27%でした

2と3を同時に満たす方法として、自社の課題を一つ担当させ、期間を決めて新規事業として立ち上げさせるやり方があります。

新価値創造プログラムという方法

新価値創造プログラム 第三期生の最終成果報告会
新価値創造プログラム 第三期生の最終成果報告会

新価値創造プログラムは、受講者が自社の新規事業または社内プロジェクトを実際に立ち上げる研修です。全10回・約6カ月のあいだに、受講者は一人一つ、必ず事業かプロジェクトを立ち上げます。

進め方は次の順番です。

  • アイデアを「誰に、何を提供するか」まで言葉にする
  • 想定する顧客に話を聞き、本当の課題を見つける
  • 競合と比べて、自社が提供する価値の違いをはっきりさせる
  • 試作品をつくり、収益の見込みを立てる
  • 最終回で事業計画を発表し、実際の顧客の獲得を目指す

複数の会社の社員が一緒に受講するため、自社の外の人から意見をもらいながら進めます。具体的な新規事業のアイデアがない段階からでも参加でき、最初の2回はアイデアを出すところから始めます。

期間と進め方が決まった計画の中で、候補者が実際の事業に挑戦する形なので、上の2と3を同時に満たします。研修の途中や最終回のあとに、候補者が経営者に事業の進み具合を報告する場を設ければ、4も同じ期間の中で行えます。受講者には、会社の理念に共感し、行動力のある社員を選ぶことを勧めています。

→ 新価値創造プログラムについて詳しく見る

研修の費用の組み方と、始めるまでの手順は資料にまとめています。
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Q&A

次世代リーダーの育成で成果が出ている企業はどのくらいありますか

HR総研の2025年の調査では、「期待されるポジションへの就任」で成果が出ている企業は6%、やや成果が出ている企業は53%で、合わせて59%でした。

成果が出ている企業は何をしていますか

成果が出ていない企業と比べて差が大きいのは、個人別計画や全社プログラムによる育成(60%対25%)、意図的な競争環境の提供(53%対23%)、短期業績悪化のリスクを取っても挑戦機会を優先すること(60%対32%)です。

座学の研修は効果がないのですか

効果がないとは言えません。ただしHR総研の2024年の調査では、選抜研修に座学を取り入れている割合は、成果が出ている企業で62%、出ていない企業で71%でした。座学を多く取り入れている企業ほど成果が出ている、という結果ではありません。

「短期業績悪化のリスクを取っても挑戦機会を優先する」とはどういうことですか

候補者に未経験の仕事や新しい事業を任せ、その間に数字が一時的に落ちても、挑戦の機会を取り上げないことです。成果の出ている企業の60%がこの姿勢を取っています。

世代間の「視座の差」を課題にしている企業はどのくらいありますか

日本経済新聞社の2026年の調査では、86%が視座の差に直面し、88%がリーダー育成の質に影響すると答えました。対策に取り組んでいる企業は33%です。

中小企業にも当てはまりますか

HR総研の調査は対象を中小企業に限っていません。一方、中小企業庁は後継者育成について、新規事業を通じた実践的な学びが必要だとしています。規模にかかわらず、挑戦を任せる方向は共通しています。


新規事業を社内で立ち上げる研修の費用と進め方は、次の資料にまとめています。

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本記事は2026年9月26日時点の公開情報に基づいています。最新の数値は各出典でご確認ください。

[出典]
HR総研「『次世代リーダーの育成』に関するアンケート 結果報告」2025年10月22日公表
https://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=410
HR総研「『次世代リーダーの育成』に関するアンケート 結果報告」2024年10月9日公表
https://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=389
日本経済新聞社「世代間『視座の差』、86%が直面も7割が未対策 企業人事・経営層調査」2026年6月11日公表
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000647.000011115.html
中小企業庁「アトツギ甲子園・後継者育成」
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/atotsugi-koshien.html

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